日本俳優連合 オフィシャルウェブサイト

Japan Actors Union

FRIDAY 23 SEPTEMBER 2016

約9分
FRIDAY 23 SEPTEMBER 2016

9月23日 今日はプレゼンテーションをやる日だ。

9:30 ヒルトン
アメリカ、AEAの方がFAIR WAGE ONSTAGEキャンペーンの協力を求めてきた。屋外で、撮影に応じる。舞台出演で規定を守らないギャラが払われているらしい。「日本俳優連合です。正規の出演料を払ってください。OK?」

<会議メモ>
10:00 ブラジルの視聴覚産業とその総括アルフレッド・マネヴィ(ブラジル)

10:10 日俳連発言

The precarious status of performers in Japan
不安定な日本の実演家の地位 
JAU専務理事 池水通洋

「日本俳優連合から参りました池水通洋です。実演家の地位を高め、権利を拡充するために働く、心を同じくする世界の仲間たちにお話しするこの機会を得て、とても喜んでいます。

日本は小さな島国です。国土はブラジルの23分の1に過ぎず、約1億3千万人の人口を抱えています。1908年以来、13万人以上の日本人が、「希望と野心」をもって、ブラジルに移住し、この地に根づきました。いま日系ブラジル人の3世、4世が日本に戻り、私たちの社会の中で、重要な役割を果たしています。両国は親密な関係にあるのです。ここでFIA大会のホストを務めて下さっている素晴らしいブラジルの俳優団体、SATEDに私の感謝の念を表したいと思います。

ここでの私のミッションは、日本の実演家が直面する現在の状況と課題を述べることです。
ほとんどの日本の実演家は、労働法の枠外におかれてきました。外国では芸術家に特別な社会保障制度と労働に関する優遇規定を設けている例がありますが、日本では、特別な優遇はなく、一般国民と同等の扱いです。健康保険や年金といった社会保障は勿論です。失業保険は当然ありません。仕事の場で労災が適用されることは、ごく稀なことです。日本は、税法上、多くの俳優を自営業者のなかまとして位置づけているため、本来、労働者に適用される「労働者災害補償保険」は、俳優たちには基本的に適用されません。日本の労働法において、俳優は「労働者」として見なされていないのです。 日本俳優連合は、俳優たちが仕事場で事故にあった場合、労働者並の補償制度が適用されるよう、厚生労働省に訴えています。

一方、文化芸術の領域では、文化芸術振興基本法が2001年に施行されましたが、法律が言及しているのは、文化と芸術の振興を国の基本方針にするということ、及び芸術家の教育とトレーニングに関することなのです。不思議なことに芸術家の地位と仕事をバックアップする施策がないのです。

ここおいて、「著作権法」のみが、日本の実演家を定義し、実演家を守ることができる筈なのです。しかしながら、1970年に施行された著作権法は、ローマ条約を基礎とし、実際は実演家の権利に大きな制限を与えてきました。つまり、実演家は映画著作物の二次的な使用から報酬を受け取れないように規定されているのです。この映画著作物の規定がネックになって、俳優たちの報酬は出演料のみで、二次的利用の報酬についてプロデューサーと協議する機会を持つことは、出演者は勿論、日俳連のような団体さえも難しい大きな壁となっているのです。
著作権法を改正し、すべての視聴覚実演の二次的利用から実演家が報酬を受けとれるようにするには、現に報酬を受け取れている先進各国の事例を、その当事者たちの口で、日本の政府やリーダーたちに話して貰うことが極めて有効です。私は、皆様に、その役割を担っていただきたいと思っております。どうぞ、FIA並びにお集りの同僚たちのご支援をお願いいたします。

日本の独占禁止法は、競争によって価格が下がることを「公正な競争」と見なしています。日本俳優連合は、独占禁止法の適用を除外されており、最低出演料と労働条件を規定する団体協約を製作会社や放送局と締結しています。しかしながら、独禁法の適用を受ける俳優たちの際限のない競争により、俳優という職業が成立し得ないほど、出演料が低下するとともに、作品のクオリティの維持も危うくなり、いわゆる「公正な競争」は、私たちの存在を脅かすようになっています。私は、独禁法、不正競争防止法の範疇に職業の維持成立を要件とする最低条件を設ける必要があると考えています。
同じく、舞台にも最低賃金が存在していません。多くの劇団の俳優たちが、低収入に耐え演劇活動を続けているのです。日本俳優連合は、かつて、新国立劇場に基本出演契約の制作を申し入れましたが、頑なに拒否されてしまいました。国を代表する劇場として、演劇界の規範作りへの姿勢の欠如が問われるところです。

エンターテイメント業界においては、「芸能プロダクション」と呼ばれる日本型のマネージャーたちが、外国におけるエージェント以上の仕事をしています。彼らは、むしろプロデューサーに近い強力な力を持つようになっているのです。
米国で設置されている「エージェンシー法」は、アーティストの人権と労働権を守る役割を果たしていますが、日本には所属事務所を定義し規制する法律はありません。スター俳優ですら、半占有的にコントロールされ、マネージメント事務所の力の前に跪かなければならない事例が、最近、マスコミに報道され大きな話題となりました。
芸術家としての人権仕事を選ぶ自由マネージメント事業者からの独立・移籍時の紛争の回避、そして搾取からの解放プロデューサー、マネージャー、匿名の公衆からのパワー&モラルハラスメントからの保護など。FIAの理事会や大会で提出される国際的に共通する問題に、各国、対応が行われているようですが、日本では公的に何ら手が付いていないのが実情です。

日本政府はUNESCOの「芸術家の地位に関する勧告」に加入していますが、芸術家の地位についての法的な条項や、私たちの仕事環境の整備に対する配慮はありません。同僚諸君、私たちは、芸術家の人権と労働権を守るため、連帯して強力なアピールを社会に対し行うことが、喫緊の課題であると考えています。
皆様に、私たちの状況をお伝えできたことを喜んでいます。皆様のご清聴を感謝致します。」(英文翻訳:中山夏織氏)

10:30 パネルディスカッション3 基本労働権と雇用における地位
デアハル FIM事務局長オランダ事務局長 アイルランド オーガナイザー
Oliver ライアンILOアルゼンチン事務局

COFFEE BREAK

ブラジルSATEDの俳優さんと

プレゼンを行った反響が大きい。一気に近しい仲間になったという感じがした。

17:30 Motionの各担当団体からの説明

  • フリーランスと自営の実演家のための団体交渉について
  • 日本における芸術家の地位について 池水の邦文原稿を中山さんが英訳朗読。
  • 報酬の支払われる芸術的作品について
  • 非組合加盟の芸術家のグループの増加について
  • 演劇への適切な公的投資に支えられた、オーストラリアにおける優れた契約
  • 実践の振興について
  • ダンサーの職業的転換について

LUNCH BREAK

LUNCH BREAKで集合写真撮影


プレゼンを行ったことで、急に皆の対応がフレンドリーになった。ニュージーランドのNZ Actors´Equityの会長Jennifer Ward-Lealandさんは、組織を大きくするいい方法は、俳優のためになる事業をすることだという。ジェニファーは、女優さんがヌードになることのデメリット等についてのキャンペーンを行ったことで会員が倍増したという。日俳連も、会員のヌード写真のネットでの無断掲載に取り組み、組合員外のスターさんも含め削除させたことがあるが、そのような活動はPRされていないため、地味な活動で終わっている
また、アメリカン・エクイティの1st副会長Paige Priceさんは、2017年3月13日から18日まで、東京フォーラムで行われるブローウエイミュージカルのイベント演出で日本に行くので、何かやってもよいと言ってくれた(*1)。ブロードウエイの演劇公演のありかた、オーディション・システムの事、オフブロードウエイのこと等、舞台人には興味深い話が聞けるだろう。講演会を行えばたくさん人が集まりJAUのPRになるのではないか?国際演劇協会、演出者協会、新劇俳優協会との共催、国際交流基金の助成なども考えられる。日本での舞台公演の数はものすごいが、みな手弁当でやっており、怪我の補償などもないのではないか?演劇公演が日俳連活動のなかで影が薄くなってはいないか?組合員増強には、演劇分野の活動を活発にしなければならないと思った。

*1 2017年3月19日 日俳連にペイジ・プライスさんをお招きしての「日俳連パワーアップセミナー1.アメリカの最新演劇事情を聞く会」を開催が実現。ペイジさん、ありがとうございました。
<会議メモ>
●大会への提言 世界メディア・世界ユニオン戦略
UNI(労組世界組織)事務局長 フィリップ・ジェニング。ものすごいテンションでまくし立てる典型的なアジテーターの演説だが見事だった。
●パネル・ディスカッション4
国際制作にける実演のダブルスタンダードとの闘い
■MODERATOR
スチーブ ACTRA
■PANELLISTS
Amit Behl India
South Africa
Iceland
Belgium
USA
●パネル・ディスカッション
実演家ユニオンの育成(結成の資格)
マイケル FIA
Russia
Hungary
Morocco

    ●MOTIONの提案

  • 典型的でない仕事環境におけるプロフェッショナルの仕事の機会
  • 国際共同製作における安全の強化と他の就業条件の調整について
  • 多国籍メディア企業についてインドにおける映画とテレビの健康と安全について
  • 中央・南東ヨーロッパ諸国における(組合の)能力育成について
  • コーカサス、東ヨーロッパならびに中央アジア(CEECA)地域の組合のための能力育成について
    ●緊急動議

  • ジンバブエにおける実演家・活動家シルヴァノス・ムズヴォヴァについて
  • 合衆国におけるヴィデオ・ゲームの実演家のための受けいれ可能な契約条件について
  • オーストラリアにおけるイラン人俳優と避難民について
  • トルコのイスタンブール公立劇場における俳優たちの停職と解雇について
  • 難民アーティストの多様性、非差別、尊重について

●大会提言 演技の多様性・実演家の観測
Sergio Manberti actor and /sp

18:30 END OF DAY TWO BUSINESS

ガラ・パーティー

19:30 HILTON集合。
バスでガラ・パーティ会場に向かう。深夜12:00まで大騒ぎ。翌日は、8:45集合でサントス、芸術家の村等に案内してくれるという。

ザンビアのカンボレさんと

ガラ・パーティが、いつまでも続く。一番手前で踊っていた金髪の女性はSAG―AFTRAのガブリエル会長だった。

SATURDAY 24 SEPTEMBER 2016 FREE DAY
芸術家の村を見学し、明日の最終日に向けて英気を養う。