日本俳優連合(日俳連・にっぱいれん)は、文化庁の著作権分科会が取りまとめた「AIと著作権に関する考え方について(素案)」に関し、意見を提出しました。
意見の要約
◆従来の著作権法の考え方との整合性について
AIによるデータ学習の行為は、著作権法の定義している録音・録画・複製、いずれの定義にも合致しません。今後、混乱の起こることが予測されますので、AIを著作権法に盛り込むのであれば法律の大幅な書き換えを行うべきです。
◆AIと著作権の関係に関する従来の整理
著作物をAIが利用することに関する規制について著作権法に明確に記載する、またはAIの適切な利用に関する個別法を設けるべきです。
著作権法第30条の4における「思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」という現行の規定の仕方は、あまりにも曖昧で緩いと言わざるを得ません。
◆生成物の著作物性について
AI生成物の著作権を認めるべきではありません。日本俳優連合は、人間の芸術性がコンテンツ制作の中心にあるべきであると信じています。
テクノロジーの進歩は、適切に規制され、道具として使われれば今後も有益なものとなります。AIは、人間のクリエイターに取って代わるものではなく、人間のクリエイターに力を与え、補強するために使われるツールであり続けなければならないと考えます。
◆その他
実演家のパブリシティ権の明確化、翻案権・複製権の付与を求めます。
現行の著作権法で実演家には複製権・翻案権が与えられていないため、生成AIの無断利用で多くの声優の声が作成・販売され、演じたことのないパフォーマンスがネットで流されていることに対し、声優自身は法的に対応ができません。
また、パブリシティ権(肖像権)は法として設定されていない現状ですが、個人が特定できる声の無断利用に対して、実演家自らの意思で制限できる法制度が求められています。
意見の全文は、以下でご確認ください。
「AIと著作権に関する考え方について(素案)」に関する意見(PDF・375 KB)