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声明 インボイス制度施行に関する、行政の連携不足の是正を訴える

約4分
2022年12月14日

声明 インボイス制度施行に関する、行政の連携不足の是正を訴える

協同組合 日本俳優連合 理事長 西田 敏行
担当理事 池水 通洋

インボイス制度の施行をめぐって、多くの団体から反対・延期等の声明が出されています。協同組合日本俳優連合(日俳連)組合員には、免税事業者である年収1,000万円以下の方が多く、制度の施行に伴い、免税事業者を取引から排除する発注事業者が増えることを危惧しております。諸事情に鑑み、同制度の施行延期・停止を求める声明をすでに2度(7/4・11/15)出しております。

この度、日俳連が行っている出演者に対する映像作品の二次使用料の徴収・分配業務の進め方がインボイスの施行で大きく変わることから、実務の進め方に関し伺ったところ、税務署の主張と公正取引委員会(公取)の主張のはざまに立たされ困惑し、この声明を発する事と致しました。

日俳連は、映像作品、特に外国映画の日本語吹替版、アニメーションの声の出演、映画などのカラオケ背景映像への転用に関し、作品の二次使用料等を徴収し、出演した方たちに分配する業務を行っております。これらの俳優の権益は、獲得するに当たって先達の職業生命を賭したデモ、ストライキ、訴訟等の結果生まれたものであり、使用料等を出演者に分配することは、日俳連の使命であり、低収入の俳優たちの生活を支える大切な業務であると認識しております。

インボイス制度の施行に伴い、税務署からは、分配対象者が課税事業者であるか、免税事業者であるかの峻別が必要であると言われております。しかし、登録番号を集める努力をしたにもかかわらず課税・免税が明らかにならない対象者への対応はどうすればいいのかという日俳連の質問に関しては、税務署からは具体的な対応指導を頂けておりません。

一例として、全国各地の放送局から外国映画吹替版の再放送料等を徴収していますが、出演者の延べ人数は数万人に及びます。そのような多数の方の課税・免税の別を調べるのは至難の業です。しかし、出演者のために日俳連はその調査をしようと思いますが、「課税者・免税者の別と、課税の方は登録番号をお知らせください」と言っても、多くの方がお応え下さらないことが考えられます。

そこで、より確実にお返事を頂くため、一例として「課税事業者の登録番号を頂けない場合は、消費税分はお支払いできません。と明示してネット等を通じてお知らせしようと思います」など、インパクトのある表現が必要であることを12月9日、公取の企業取引課に申し上げたところ、そのような告示は独禁法の「優越的な地位の濫用」と見做され、排除命令が出る恐れがあるとのことでした。

公取は、分配対象がいくら膨大な数の不特定多数者であるとしても、一方的な告知だけでは優越的な地位の濫用になるとの判断でした。日俳連が行っている分配作業は、1件1円から始まる少額の寄せ集めが年間合計で1億円程度になるものであり、対象者との個別協議等が不可能である事から、「仕事を進めるには先述の方法で告知を行い、その結果に従い事務を進めるしかない」と申し上げると、「そのような告知をやる・やらないは、お宅が選ぶことであり、公取としてはそれ以上のことは言えない」とのお答えでした。

インボイスに関して公取にこのような判断があることは、説明チラシ等で分かってはいましたが、実際に今もその姿勢は変わっていませんでした。日俳連が行ったアンケートでは、俳優たちの92%が年間収入1,000万円以下であり、このような円安物価高のご時世にインボイス制度を施行することには賛成できません、出演者たちにたとえ少額の使用料でもお届けするため、日俳連は調査費用と膨大な時間をかけ登録番号の収集に協力しようとしているのです。

登録番号を必要とするのは国税庁であり、それに協力しようとする日俳連が公正取引委員会の排除命令を受けることは理不尽としか言えません。国税と公取で協議して、協力機関である日俳連が違反者として処罰されないよう考えて頂きたいと思います。

また、適格請求書発行事業者公表サイトからの本名の漏えいについては、本名から自宅が分かってしまい、ストーカー行為が発生したり、SNSに本名をばら撒かれるなどが簡単に想定されるのですが、事件が起こるまでは一切動けないとの事でした(総務省の個人情報保護の部署に質問した回答)。

行政間に制度の施行に関する連携がなく、それぞれの主張をするばかりで、間に立つ私共の事業が停滞することが無いよう相互の協議を進める事を要請致します。

以上