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「生成AIについての公開質問状」回答の発表

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「生成AIについての公開質問状」回答の発表

協同組合日本俳優連合は、このたびの衆議院選挙に伴い、2024年10月16日に各政党「生成AIについての公開質問状」を送付いたしました。

質問は下記の3点となります。

①権利者に無断で生成されるAI音声/映像/画像をどう思いますか
②無断学習を可能にする現状の著作権法の改正は必要だと考えますか
③生成AIによる権利侵害に対応する法整備は必要だと考えますか

公開質問状の送付先は、自由民主党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、日本共産党、国民民主党、れいわ新選組、社会民主党、参政党、NHKから国民を守る党、の10党です。

回答期限を10月23日(水)としたところ、8党より回答がありましたので発表いたします(回答順)。ご回答のほど、ありがとうございました。

日本維新の会参政党からは、残念ながら期限までに回答がありませんでした。

「NHKから国民を守る党」の回答

日時:2024年10月17日(木)13時14分
文書:メール本文のため無し

ご連絡誠にありがとうございます。
検討の結果、NHKから国民を守る党は此度の衆議院選挙に候補者を擁立しない方針となりました。
ちなみに、次期参院選は候補者を擁立する見込みでございます。
ご確認の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

「国民民主党」の回答

日時:2024年10月20日(日)17時22分
文書:【国民民主党】回答(生成AIについての公開質問状)

①権利者に無断で生成されるAI音声/映像/画像をどう思いますか
生成AIは、生産性の向上と技術革新の加速などをもたらす一方、大量のコンテンツ・データを無断で利用し、著作権等の侵害リスクや悪用に対する懸念等を生じさせるものともなっており、早急な対策が必要です。
②無断学習を可能にする現状の著作権法の改正は必要だと考えますか
権利保護等の観点から、具体的な事例の把握・分析、法的考え方の整理を進め、著作権法改正を検討する必要があると考えます。
③生成AIによる権利侵害に対応する法整備は必要だと考えますか
声や労力の保護等、必ずしも知的財産法のルールのみでは解決できない点もあり、他人の肖像や声等の利用生成に関し、不正競争防止法その他の関連法についても、法的考え方の整理を行う必要があると考えます。

「日本共産党」の回答

日時:2024年10月21日(月)12時45分
文書:【日本共産党】回答(生成AIについての公開質問状)

①権利者に無断で生成されるAI音声/映像/画像をどう思いますか
生成AI事業者がコンテンツを無断で利用し、学習及び生成に無制限に使用することを認めれば、創作者の権利を侵害し、重大な不利益をもたらします。また、創作意欲を削ぐようなことがあれば、著作権法の目的にも反することになります。
②無断学習を可能にする現状の著作権法の改正は必要だと考えますか
当然、改正が必要だと考えます。
俳優の皆様方をはじめ、作家、作曲家、映画監督、スタッフ、実演家などあらゆるアーティストの権利と利益を守るため著作権法が必要です。
③生成AIによる権利侵害に対応する法整備は必要だと考えますか
報道コンテンツの利用についても権利者の許諾を得たうえで、正確性を十分確保するなど、生成AI事業者に責任ある対応を求める法整備が必要です。日本新聞協会などからも早急な著作権法改正を求める声が強まっています。
EUは今年、包括的なAI規制法を発効しました。一方、日本ではEUとは異なり、法制での規制をせず、事業者の自主性にゆだねる方針です。ここにも、巨大IT企業を抱えるアメリカ言いなりの日本の姿勢が表われています。
日本でも、生成AIによる偽情報や誤情報の作成・流通、プライバシーの侵害や個人情報の流出を防止することが求められています。また、自律型致死兵器システムなどAIの軍事・安全保障分野での使用もやめさせなければなりません。
今回の総選挙にあたり、生成AIに関連して日本共産党は次の政策を発表しています。
――日本版AI規制法を制定して、リスクに応じた厳格な管理を行い、偽情報・誤情報を排除する仕組みを作ります。
――自律型致死兵器システムなどAIの軍事・安全保障分野での使用に反対します。
――著作権法やデジタルプラットフォーム取引透明化法を改正して、プラットフォーマーや AI 事業者に社会的責任を果たさせます。

「立憲民主党」の回答

日時:2024年10月21日(月)18時49分
文書:【立憲民主党】回答(生成AIについての公開質問状)

①権利者に無断で生成されるAI音声/映像/画像をどう思いますか
政治家も、演説する映像や音声を改変され、言ってもいないことをさも言っているかのようなフェイク画像、フェイク映像が拡散される被害が実際に発生しており、権利者に無断で、かつ事実と異なる音声や映像、画像が生成され、拡散されることは問題があると考えます。
②無断学習を可能にする現状の著作権法の改正は必要だと考えますか
文化庁は今年 2 月、AI の無断学習に一定の歯止めをかける素案をまとめ、特定のクリエイターの創作的表現を意図的に出力させる目的でAIに学習させる場合には許諾が必要とする考え方を示しましたが、こうした案も含め、無断学習に対して何ら歯止めをかける術のない現状は、法改正も視野に、何らかの改善を図るべきと考えます。
③生成AIによる権利侵害に対応する法整備は必要だと考えますか
立憲民主党は、AI の利活用にあたっては規制とイノベーションのバランスが重要であり、著作権や個人情報の侵害、誤情報の拡散、監視や差別につながることのないよう倫理的な考慮や技術的な対策を講じつつ、社会的な規制のルール作りを進めるべきとしています。生成による権利侵害に対応する法整備についても、この社会的な規制のルール作りの一環として検討されるべきと考えます。

「自由民主党」の回答

日時:2024年10月22日(火)9時39分
文書:【自由民主党】回答(生成AIについての公開質問状)

①権利者に無断で生成されるAI音声/映像/画像をどう思いますか
②無断学習を可能にする現状の著作権法の改正は必要だと考えますか
③生成AIによる権利侵害に対応する法整備は必要だと考えますか
アニメや映画などのコンテンツ分野、また、これに携わる声優や俳優等の実演家の権利が守られることは重要であると考えています。
AI については、著作権等の知的財産権を尊重しつつ、研究開発・実装がしやすい環境を目指しているところです。
生成 AI と著作権の関係については、AI の研究開発・実装の促進と権利の適正な保護とのバランスを図ることが重要であり、政府において、考え方の整理を行い、周知を行っていると承知しています。今後も、様々な技術の発展や、諸外国の動向等も見据えつつ、引き続き、法・技術・契約を組み合わせた対応を進めてまいります。

「公明党」の回答

日時:2024年10月22日(火)12時1分
文書:【公明党】回答(生成AIについての公開質問状)

①権利者に無断で生成されるAI音声/映像/画像をどう思いますか
アニメや映画などのコンテンツや、これに携わる声優や俳優等の実演家の権利が守られることは重要な課題です。
AI音声/映像/画像についても、著作権等の侵害となる場合には、著作権等を有する者において、法的措置を講ずることが可能ですが、諸外国の動向等を踏まえ今後更なる対応について議論が必要と考えます。
②無断学習を可能にする現状の著作権法の改正は必要だと考えますか
AI学習のための著作物の利用に関する著作権法第30条の4においては、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない場合には、必要と認められる限度で著作権者の許諾なく著作物を利用できますが、この目的を外れる場合や著作権者の利益を不当に害する場合には、原則として許諾を得る必要があります。
こうした場合の明確化も含め、政府の文化審議会著作権分科会法制度小委員会では、関係者間で議論を行い、「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめているものと承知しています。
その上で、著作者等の権利の適正な保護については、今後も、様々な技術の発展や諸外国の動向等を踏まえ、必要に応じて議論を行っていきたいと考えます。
例えば、EUでは、研究目的の場合には、例外なくAI学習のための著作物の利用が認められている一方で、営利目的などで著作物を学習する場合に、著作権者が適切な措置をとれば、自身の著作物をAIの学習のために利用される対象から除外できるというルールを定めており、このような動向も参考にしながら、必要な対策について検討したいと考えます。
③生成AIによる権利侵害に対応する法整備は必要だと考えますか
生成AIによる知的財産権侵害リスクへの対応については、政府の「AI時代の知的財産権検討会」での中間とりまとめを踏まえ、AIの開発・提供・利用の各事業者や権利者等が行うリスクへの対応策として、著作権法や著作権法以外の知的財産法の適正な運用等を図る「法」、いわゆるホワイトなAIによる適切な対応策としての「技術」、権利者への対価還元策等の「契約」の各手段を適切に組合せることによる対応を検討すべきと考えます。
あわせて、政府が策定した「AI事業者ガイドライン」をAI開発、提供、利用における各事業者に広く周知し、活用促進を図る必要があります。
こうした様々な対応の状況をはじめ、今後のAI技術の進展状況、関係者の声や諸外国の動向等も踏まえながら、知的財産権の適切な保護とAI技術の進歩の促進が両立するというAIガバナンスの観点を踏まえたエコシステムの実現に向けて、今後、法整備の検討も含めた必要な議論をしていきたいと考えます。
また、AI社会における安全性を確保するため、特に生命や人権等に係るハイリスクに対応した包括的規制を含む新たなAI法制度を創設するなど、国民に安心と信頼をもたらすAIガバナンスを構築したいと考えます。

「れいわ新選組」の回答

日時:2024年10月22日(火)15時12分
文書:【れいわ新選組】回答(生成AIについての公開質問状)

①権利者に無断で生成されるAI音声/映像/画像をどう思いますか
権利者の許諾を得ずに生成されたデータを利活用することは、引用にも該当せず、フェアユースにも該当しないと考えます。
②無断学習を可能にする現状の著作権法の改正は必要だと考えますか
現行の著作権法(著作権法第30条の4)の規定では、AI が学習データを収集する際、著作権者の利益を不当に害する場合を除き、許諾がなくてもデータの収集、利用ができるようになっています。ただ、AI がデータ収集をするのは商業用の利用を最終目的とする場合が大半と思われますので、学習と生成は一体とみなし、その実情・実態に合致した規制をしなければならないと考えます。
③生成AIによる権利侵害に対応する法整備は必要だと考えますか
・日本芸能従事者協会の調査では、2 万 6891 人のクリエーターが、58.5%が「仕事が減少する心配がある」と答え、93.8%が「AI による権利侵害などの弊害に不安がある」と答えるなど新技術によって生活が脅かされる危機感を抱いています。
・特に無断学習によって、様々な俳優の表現や役作り、作品の多様な表現を一瞬にして「剽窃」してしまう生成 AI の登場はこれまでにない危機を文化・芸術産業に与えていると考えます。
・技術の進展が既存の職を脅かす危険性は芸能・芸術分野に限らず、すべての分野において起こりえることです。既存の権利者の権利を害することなく、利用と保護の両立を図るべきと考えます。新技術による権利侵害を防ぐ公正な利用の制度設計が必要です。
・規制を企業の自主性にゆだねるだけでは、権利侵害防止よりも収益目的での活用のみが進められる危険性があります。したがって、法整備は当然ですが、その規制の在り方を議論する際には、貴団体のような当事者の団体や実際に影響を受ける当事者の意見を最も重視させていく必要があると考えます。
・生成 AI については欧州規制法の議論を踏まえ、「AI を活用したことが判別できる透かし・明示」、「違反企業への罰則」、「無断学習への規制」「希望しない場合の「オプトアウト制度」や「著作権者への補償金制度の導入」などの速やかな議論が必要と考えます。その他、差別を目的とした利用、個人情報の収集などの基本的人権に抵触する利用への規制の議論など多角度からの検討が必要であると考えています。

「社会民主党」の回答

日時:2024年10月23日(水)8時4分
文書:【社会民主党】回答(生成AIについての公開質問状)

①権利者に無断で生成されるAI音声/映像/画像をどう思いますか
生成AIは権利者の許可を得ず多数のコンテンツを学習し、権利者の作風を模したコンテンツや複数の権利者の作風を融合したコンテンツを無限に作り出しています。権利者が得るべき利益を保護するためにも、混乱しているAI生成物に関するルールを定め、AI生成物による著作権侵害行為の判断基準の明確化を行う必要があります。
②無断学習を可能にする現状の著作権法の改正は必要だと考えますか
AIの規制や、デジタル時代の著作権のあり方について議論し、ルールを定め法律をつくる必要があると考えます。
③生成AIによる権利侵害に対応する法整備は必要だと考えますか
生成AIがアーティストらの作品や俳優らの声などを収集し学習する過程での、プライバシー侵害や個人情報保護のための措置を法制化する必要があると考えます。AIの活用が無秩序にすすむ一方で、活用のルールや規制の取り組みが立ち後れています。すでにEUでは「AI規制法」が成立しており、段階的に施行されています。日本も国際的な合意の水準を踏まえ、早期に法制度の整備を行うべきです。

以上