文化芸術活動の継続支援事業完了報告書
協同組合 日本俳優連合(K10004579)
実施期間
令和2年2月26日 ~ 令和3年2月28日
目次
補助事業の内容
1.事業目的
俳優等は、フリーランス・雇用類似者・個人事業主等と言われ、社会的な位置づけが曖昧であることから、国の新たな問題となっています。俳優等フリーランスの意識を結集し、業界ガバナンスの近代化と制度的に遅れた部分の是正を図るための諸事業に取り組みました。
2.具体的な活動内容
フリーランスを社会に位置付ける連携の輪の作成のため、
- ①共通の課題である労災問題への取り組みを、一般労災における労働者性の見直しと、特別加入労災指定業種に芸能従事者を加える両面から行いました。
- ②国民健康保険加入のフリーランスに、傷病手当金を給付する運動と賃金未払い確保法を準用する運動を、国際俳優連合FIAの助力を得て並行して行いました。
- ③ハラスメント、コロナ禍での心のケアのメール相談への取り組みを行いました。
- ④著作権法・出演条件に関する取り組みを行いました(共同申請者1)。
- ⑤コロナ対策文化芸術継続支援事業への取り組み。緊急演劇支援プロジェクトへの参画を行いました(共同申請者1)。
3.事業実施のスケジュール
Ⅰ.労災問題
- ①-1.一般労災に関する労働者性の見直しへの取り組みを実施。組合員O氏の労災休業補償申請及び芸能従事者を特別加入労災保険適用業種にするための取り組みを行った。令和2年2月~令和3年2月28日。
- ①-2.令和2年7月31日、厚生労働省「第88回労働政策審議会労災保険部会」にてヒアリング。
- ①-3.令和2年10月30日「芸能従事者を取り巻く労働安全衛生法と安全配慮義務」の勉強会を実施。令和2年11月30日、厚労省から安全衛生担当者を招き、全国舞台テレビ照明事業協同組合の協力を得て開催。
- ①-4.ディスガイズド・エンプロイメント勉強会を実施。令和2年12月6日。
- ①-5.令和3年1月14日、フリーランスガイドラインに関する意見書提出。
- ①-6.令和3年1月21日(木)16:00~18:30 衆議院第2議員会館多目的会議室、「フリーランスと芸能従事者の勉強会」を実施。
- ①-7.内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省連名で策定された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(案)に関して、フリーランス連絡会で協議。日俳連は、俳優の立場から令和3年1月14日、意見書を提出した。
Ⅱ.国保加入のフリーランスに傷病手当金と賃金未払い確保法準用を
- ②-1.数度のフリーランス連絡会における意見調整と厚労大臣への国際俳優連合FIA加入各国の支援声明を得て、東京芸能人国民健康保険組合、都庁国民健康保険課訪問。併せて賃確法準用要請行動を行った。令和2年9月11日。
- ②-2.令和2年10月9日 山本博司厚労副大臣への陳情、4名の文化芸術振興議員連盟加盟の国会議員を含む議員が同席。運動は、継続中。
Ⅲ.ハラスメント・心のケア相談
- ③-1.東京海上日動メディカルケアと協議を重ね、令和2年12月1日 相談開始。令和3年2月28日 相談継続中。
Ⅳ.著作権法・出演条件に関する取り組み
- ④-1.令和2年8月、日俳連は、(一社)日本芸能マネージメント事業者協会、(公社)日本劇団協議会と令和3年度俳優のNHK出演条件に関し意見調整要望書を提出した。令和2年12月回答を得、令和3年4月実施予定である。
- ④-2.「放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関する 中間まとめ」に関する意見募集に関する対応を、令和3年1月5日意見書を提出。
- ④-3.文化庁長官宛てに、著作権法改正要望書を提出。令和2年11月26日。
- ④-4.令和3年2月3日、衆議院議員会館第7会議室にて、「芸能実演家の知的財産権に関する勉強会」を(公社)日本芸能実演家団体協議会の後援で開催。国会議員・秘書31名マスコミ、芸能関係者等総勢約40名参加。
Ⅴ.文化芸術継続支援事業への取り組み
- ⑤―1.緊急演劇支援プロジェクトに参加。
- ⑤-2.令和2年9月1日 日本俳優連合実態調査アンケート5「俳優・声優の《自粛6ヶ月経過》現況と新型コロナウイルス感染症に係る公的支援に関するアンケート」WEB掲出。 厚生労働省、 文部科学省、文化庁、文化芸術振興議員連盟会員など各議員に提出。
- ⑤-3.令和2年8月25日 日俳連共同申請 独立行政法人 日本芸術文化振興会に提出。
- ⑤-4.令和2年11月1日 日本俳優連合実態調査アンケート6「フリーランス芸能従事者の安全衛生に関するアンケート」WEB掲出。厚生労働省、文部科学省、文化庁、文化芸術振興議員連盟会員など各議員に提出。
- ⑤-5.令和3年2月28日 文化芸術活動の継続支援事業、共同申請事業報告WEB掲出。
4.期待できる効果
一般労災に関しては 12月1日O氏の再審査請求公開審理が行われた。そこで俳優の労働者性についての主張がなされることになった。特別労災に関しては芸能従事者が特定作業従事者として特別加入労災保険適用対象業種に認定され、令和3年1月26日、労働保険法及び保険料徴収に関する法律施行規則改正が公布された。
国際俳優連合FIA加盟の諸外国からの国際要望書を使用した国会議員の支援を得て交渉中。
東京海上日動メディカルサービス社に委託して、組合員のための「こころの相談窓口」が設けられた。フリーライターA氏の提訴事件を通してMICフリーランス連絡会とハラスメント事案の支援と研究を行った。
文化庁長官への著作権法改正要望書を提出したが、反応が薄かったので令和3年2月3日、超党派文化芸術振興議員連盟の先生方を対象に衆議院院内勉強会「芸能実演家の知的財産権についての勉強会」を開催。議員から映画の権利に関する小委員会を設置しようという動きが出始める。北京条約の規範に沿った改正が行われるよう今後も活動を続ける。
第2次補正予算で文化芸術分野の助成金509億円を得て、日本俳優連合は実演家の事前確認申請の窓口として約5,300人の実演家が助成を受けるお手伝いをした。第3次補正予算についても緊急演劇支援プロジェクトの一員として活動中。